虚しさは


どうして という疑問ばかりが
子供の頃から やまない

世界は明らかに有であって
けして無ではない
それなのに 虚しさは
高い空をわたっては
耳元にまで届こうとする

どうして という疑問ばかりが
いまになっても やむことはなく

この世のあらゆる駆け引きや
忙しなさとともに
虚しさは いのちを摩擦して
地下から汲みあげた水でさえも
汚してしまおうとする

どうして という疑問ばかりが
いつまでも やむことはなく

せめて無 そうであれば
虚しさを感じ取ることもなく
中空に浮遊する見えない埃のような
人生といういのちが
胸の奥までも浸食することはないだろうに

だが 明らかに有である
あふれすぎたこの世のなかで
虚しさは どこまでも優しく
また どこまでも愛しい

どうして という疑問ばかりが
やむことなく 駆け巡る

誰もがたった一つの報いを待っているから
空はこんなにも美しく
この世のすべてを
心までも 空にしてしまう
どこまでもあおい
あおい
空にしてしまう

虚しさは
意味となっては
解き放たれて


(二〇一七年二月執筆)


戻る   表紙