あつまってくる


誰の末裔なのか。遺伝の果てが、あちらにもこちらに
も。それらを見ながら、自らにのこされたものがどれ
ほど偏っているのかを、またしても確かめる。これで
もう何度目だろう。まばらな伝聞は、この心も体もお
かしな平均をなし、みだらな信心を育ててゆく。この
国のあらゆる隅から都市へと、人があつまってくる。
彼等のおおもとから離れたさまは、乱視を広げながら
も、衰弱させてゆく。何かがあり、何かが起こる。あ
るいは長い歴史のなかで興っては滅びる文明。その詩
のような鈍磨。そのたびに、みんなあつまってくる。
偏っていた人が、自らのその気持ち悪い偏りを正視で
きずに中心へ、中心へと。いままた、遠い見えない場
所で砲撃があって、それはこの中心にまで聞こえてく
る。人々は踝にまで重力を沈めて、またしても、あつ
まってくる。それを見ながら気づく。この罪のある輕
みは、小腸から蹠にまで至るのだ。誰の末裔なのか。
それぞれにのこされたものを置いたまま、なぜこんな
にも、あつまってくるのか。まるでちりぢりになる前
にあつまって、この時を見ておかなければならないの
だとでも言うように、あつまってくる。それを見なが
ら、一人そこから離れてゆく者がいる。罪の末、あら
ゆる嫉妬が自らの内部にあつまってくるのを感じて。


(二〇一七年一月執筆)


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