天気


僕たちは
その通りなのだと信じた
風が吹く方角や
その強さについて
言われたままに従って
疑うことのない純真さで
その通りに行動して
結局あざむかれて
なんだか情けない気持ちになって
とぼとぼと帰るのだった
それでも僕たちは
懲りもせずに
再びその通りであると信じた
でもやっぱり裏切られて
ずぶ濡れになって
あるいは
せっかく用意した雨具を
間のぬけた贈り物かのように持ち帰って
重たい足取りで帰って
やっぱりだったよ
などと言うのだった
そのようにして
僕たちの無垢な心は
少しずつ傷つけられて
それに慣れる頃には
何が本当で
何が嘘なのかも
わからなくなって
何を赦して
何を赦さずにいるのかも
どうでもよくなって
自分自身を赦せない失策のように思って
これから来る者たちに
純真さの愚かさを
説いたりするのだった
僕たちは忘れることと
忘れないでいることの
違いを覚えて
雨に降られて
風にどやされて
日に焼かれて
また同じ今日を繰り返す
僕たちはあの頃
その通りなのだと信じた
その無垢な思いが日々に溶けて
これから先の天気を予告する
それを信じる幼い者たちがやってきて
僕たちはそれを眩しげに見上げていて
空は気まぐれに
何ものかを裁いていて


(二〇一六年十月執筆)


戻る   表紙