季節


またひとつのめぐりがあり
またひとつの訪れがあり
その変化に向かい合って
僕たちは生きてゆく
いっぽうで いくつのめぐりを経ても
忘れられないものがあり
雲がどんなにかたちを変えても
太陽が どんなふうに傾いても
変るはずのないものとして のこる
その思い出への執着を
嘲笑う者は 呪われよ
僕たちの 取り替えることの出来ない体験は
どんなめぐりにも 動かされずにあるだろう
このめぐりの先で
どんな花が咲いても
どんなふうに葉が落ちて
それが 風に吹かれて運ばれても
僕たちはその記憶とともに
祝福されてあれ
またひとつの季節があり
またひとつ思い出がしまわれて
僕たちはそれを守って
新たな季節の日を浴びる
楽の音が ひとときの休息のように
しずかに鳴り渡る
僕たちは思い出とともに赦されて
この先の季節にも
生かされてあれ


(二〇一六年六月執筆)


戻る   表紙