骨の淋しさ


誰も見上げる余裕がないから
空は傍観者のように見下ろしているだけだ
そのなかで 安全に脅える人々よ
自らの罪に気づかず
誰かの罪を想像して
齧歯類の抜け目のなさで齧りつく
人はそんなものではありえない
人はただ弱く その弱さを
自らも持っているだけだ
だが この吹きさらしの脅えのなかで
それに異議を唱える者は怪しまれる
誰もがそれぞれの歌を持ち
それぞれの 物語とともにある
それすらも忘れた人よ
純真さを取り戻して
夢の角度に緩やかな変更を加えよ
それでも弱さのなかで走り出す脅え
それを見送る
骨だけのような淋しさがあって
そのすべてを
ただ純真なだけの空が
見守っていて


(二〇一六年五月執筆)


戻る   表紙