直観の疾走者


いま
星の下で
明日のために
今日の色を決める
走りぬける
全力疾走の快感
それが俺を
白い荒野の上に立たせている
時には多大な収穫を
時には多大な疲労を
もたらす荒野
その謎の前で
俺は身震いする
ある時
天使が心の中に
降りてくる
そして少女のにおいは
獣のにおいであることを
俺に教える
たとえ神居古潭
(神々の住む村)
を横目に見る道の上にあっても
たとえ思いがマッケンジーの源流
イエローナイフに飛んでいても
あるいはひとり部屋の中
彼女

かつて属した組織
街灯の数をかぞえながら
岩石の思い出に
うつつを抜かしていても
天使は
来る時には
来る
来ない時には
来ない
そのようにして
今日の色は決められる
至極まっとうに
やさ男
と呼ばれるべきこの体に
ひとつの小宇宙が潜んでいる
再確認不可能の
科学者
直観の疾走者
それが俺だ
俺は弾丸
走りぬける
全力疾走の快感
今日もまた
天使が降りてきて
細胞に叫ばせている
目指すべきは北
北ヲ求メヨ
その声に従って
俺はゆくだろう
北を目指して
この魂に埋まった
化石を掘り起こすために
俺は弾丸
走りぬける
その快感が
真実であることを
知る


(一九九六年十一月執筆)


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